ゴールデンウィークが明けると、ポストに届くのは自動車税や固定資産税の納付書。「あれ、こんなに払うんだっけ?」と焦った経験はありませんか。創業して間もない経営者ほど、売上の入金サイクルと納税のタイミングのズレを見落としがちです。5月から6月にかけては、事業に関連する税金の納付が集中する”納税ラッシュ”の時期。この記事では、資金ショートを防ぐための具体的な納税カレンダーと、口座残高の安全ラインの考え方をお伝えします。

015月〜6月に集中する税金の種類と納付期限

まずは、2026年5月から6月にかけてどのような税金の納付が発生するのか、全体像を整理しましょう。個人事業主と法人(3月決算)で異なる部分もありますが、代表的なものは以下のとおりです。

5月に届く・納付する主な税金

  • 自動車税種別割(旧・自動車税):毎年5月上旬に納税通知書が届き、納期限は原則5月末日。2026年は5月31日が日曜日のため、翌営業日の6月1日(月)が期限です。事業用車両を複数台保有している場合、合計額は数十万円になることもあります。
  • 固定資産税・都市計画税(第1期):事業用の不動産や自宅兼事務所を所有している場合に課税されます。多くの自治体で第1期の納期限は5月末〜6月末頃に設定されています。
  • 法人税・消費税等の確定申告・納付(3月決算法人):3月決算法人は事業年度終了から2か月以内、つまり2026年5月末が確定申告と納付の期限です。法人税・法人住民税・法人事業税・消費税が一斉に発生し、年間で最も大きなキャッシュアウトになるケースも珍しくありません。

6月に届く・納付する主な税金

  • 個人住民税(特別徴収の通知):従業員を雇用し給与から住民税を特別徴収している場合、6月に新年度の税額通知が届きます。6月分から翌年5月分までの天引き額が変わるため、給与計算にも影響します。
  • 個人住民税(普通徴収 第1期):個人事業主ご本人の住民税は6月に通知書が届き、第1期の納期限は6月末です。前年の所得に基づくため、売上が伸びた翌年に税額が跳ね上がることがあります。
  • 固定資産税(第1期、自治体による):自治体によっては6月が第1期の場合もあります。届いた通知書で年間の総額と各期の金額を確認しましょう。

ポイント:3月決算法人の場合、5月末に法人税等の確定納付と自動車税の納付が重なります。さらに固定資産税の第1期も加わると、1か月の間に数百万円規模のキャッシュアウトが発生することがあります。「いつ」「いくら」出ていくのかを事前に一覧化しておくことが重要です。

02創業期に陥りやすい「資金ショート」のパターン

売上は順調なのに資金が足りない――。創業期の経営者からよくいただくご相談です。納税ラッシュの時期に資金ショートが起きる典型的なパターンを見てみましょう。

パターン1:売上の入金サイクルとのタイムラグ

たとえば、4月に100万円の売上が発生しても、請求書の支払いサイトが「月末締め・翌月末払い」であれば、入金は5月末です。ところが自動車税や固定資産税は5月中旬〜下旬には納付しなければなりません。帳簿上は黒字なのに、手元のキャッシュが足りないという状態が起こります。

パターン2:前年より所得が増えた翌年の住民税

個人事業主の住民税は「前年の所得」に基づいて計算されます。創業初年度は赤字で住民税がほとんどかからなかったのに、2年目に利益が出ると、3年目の6月に届く住民税の通知額に驚くことがあります。年間の住民税が50万円を超えるケースも珍しくありません。

パターン3:複数台の事業用車両を保有

配送業や営業車を複数台抱える事業では、自動車税だけで数十万円になります。排気量2,000cc超の普通車であれば1台あたり年額36,000円〜。5台保有していれば18万円以上が5月に一度に出ていく計算です。軽貨物でも1台あたり年額5,000円ですが、台数が多ければ無視できない金額になります。

03口座残高の「安全ライン」をどう設定するか

資金ショートを防ぐためには、口座残高の「安全ライン」を決めておくことが有効です。以下の考え方を参考にしてください。

月間固定費の1.5〜2か月分を「最低残高」に

毎月の家賃・人件費・リース料・通信費などの固定費を合計し、その1.5〜2か月分を口座の最低残高として設定します。たとえば月間固定費が80万円なら、120万円〜160万円は常に口座に残しておきたいラインです。

「納税用の別口座」を作る

売上が入金されたら、見込みの税額分をあらかじめ別口座に移しておく方法も効果的です。売上の10〜15%程度を「納税プール」として積み立てておくと、5月・6月の納税ラッシュにも慌てずに対応できます。

注意:納税資金が不足しても、納付を先延ばしにするのは避けましょう。延滞税は年率8.7%(2026年の場合、納期限の翌日から2か月を超えた部分)にもなり、金融機関の借入金利より大幅に高くなります。資金繰りが厳しい場合は、納税の猶予制度の活用や、早めに税理士に相談することをおすすめします。

04納税ラッシュを乗り切る準備チェックリスト

GW明けからすぐに行動できるよう、以下のチェックリストを活用してください。

  1. 納税カレンダーを作成する:5月・6月に納付する税金の種類・金額・期限を一覧表にまとめる。届いた通知書の金額を書き込んでいく。
  2. 口座残高を確認する:GW明けの時点で事業用口座にいくら残っているかを確認。5月・6月の入金予定額もリストアップする。
  3. 安全ラインと照合する:口座残高から納税額と固定費を差し引いても安全ラインを維持できるか計算する。
  4. 資金不足が見込まれる場合の対策を検討する:売掛金の早期回収交渉、不要な経費の見直し、金融機関への短期借入の相談など、打てる手を洗い出す。
  5. 口座振替・クレジットカード納付の設定を確認する:自動車税や固定資産税は口座振替やクレジットカード納付が可能な自治体が増えています。引き落とし日を把握し、残高不足にならないよう注意する。
  6. 昨年の住民税額を確認する:個人事業主の方は前年の確定申告書から住民税の概算額を把握。大幅に所得が増えた年は、6月に届く税額が跳ね上がる可能性を織り込む。
  7. 税理士に相談する:顧問税理士がいる場合は、資金繰り表のレビューを依頼。まだ税理士と契約していない場合は、このタイミングで相談を検討する。

05納税の猶予制度も知っておこう

どうしても資金繰りが厳しい場合、国税・地方税ともに「納税の猶予」や「換価の猶予」という制度があります。一定の要件を満たせば、最長1年間の納付猶予が認められ、延滞税も軽減されます(猶予期間中の延滞税率は年1.0%前後に軽減されるケースが多い)。

ただし、猶予を受けるには申請手続きが必要であり、納期限までに申請しなければならないものもあります。「払えないから放置する」のではなく、早めに税務署や市区町村の窓口に相談することが大切です。

06まとめ

この記事のまとめ
  • 5月は自動車税・固定資産税(第1期)・法人税等(3月決算法人)、6月は住民税と、納税が集中する時期。事前に「納税カレンダー」で金額と期限を把握することが第一歩。
  • 売上入金と納税のタイムラグが資金ショートの原因になりやすい。口座残高の「安全ライン」は月間固定費の1.5〜2か月分が目安。
  • 売上の10〜15%を「納税プール」として別口座に積み立てておくと、納税ラッシュにも対応しやすい。
  • 資金不足が見込まれる場合は、早めに金融機関や税理士に相談する。納税の猶予制度も選択肢として知っておく。
  • 延滞税は年率8%超になることもあるため、納付の先延ばしは避け、計画的な資金管理を行う。