「開業届は出したけれど、確定申告って何から始めればいいの?」「青色申告がお得と聞いたけれど、自分にもできるのかな…」――創業したばかりの個人事業主の方から、こうしたご相談をよくいただきます。初めてのことだらけで不安になるのは当然のこと。でも大丈夫です。ポイントを押さえれば、青色申告はけっして難しくありません。

この記事では、女性税理士の視点からできるだけ噛み砕いて、青色申告の基本と最大65万円の控除を受けるための具体的な手順をお伝えします。白色申告との違いや、今からでも間に合う準備のチェックリストもまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。

そもそも青色申告とは?白色申告との違い

個人事業主の確定申告には、大きく分けて「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。どちらも所得税法に基づく申告方法ですが、受けられるメリットが大きく異なります。

青色申告の根拠と概要

青色申告は、所得税法第143条に基づき、一定の帳簿を備え付けて正確な記帳を行うことを条件に、さまざまな税制上の特典を受けられる制度です。事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。

白色申告との主な違い


このように、青色申告は記帳の手間がかかる分、節税メリットが大きい制度です。創業初期で経費がかさみやすい時期こそ、青色申告を選ぶ意味は大きいといえます。

65万円の青色申告特別控除を受けるための3つの要件

青色申告特別控除には「10万円控除」「55万円控除」「65万円控除」の3段階があります。最大の65万円控除を受けるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件①:複式簿記で記帳する

日々の取引を「借方・貸方」に分ける複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する必要があります。「簿記の知識がない…」と心配される方もいらっしゃいますが、最近はクラウド会計ソフトが自動で仕訳をしてくれるため、簿記の資格がなくても対応できるケースが増えています。

要件②:e-Taxで申告する、または電子帳簿保存を行う

2020年分(令和2年分)の確定申告から、65万円控除を受けるには「e-Tax(電子申告)による申告」または「優良な電子帳簿の要件を満たした電子帳簿保存」のいずれかが必要になりました。紙で提出する場合は控除額が55万円に下がりますので、ご注意ください。e-Taxの利用にはマイナンバーカードが必要です。

要件③:期限内に申告する

確定申告の法定申告期限は、原則として翌年の3月15日です(所得税法第120条)。2025年分であれば2026年(令和8年)3月16日(月)までが期限となる見込みです(3月15日が日曜日のため翌月曜日。ただし、正式な期限は国税庁の発表をご確認ください)。期限を過ぎると65万円控除が受けられなくなる可能性がありますので、余裕を持って準備しましょう。

青色申告を始めるためのステップ

ステップ1:開業届と青色申告承認申請書を提出する

まだ提出していない方は、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出しましょう。青色申告承認申請書の提出期限は以下のとおりです(所得税法第144条、同法第166条等)。


2025年分から青色申告をしたい場合で、すでに事業を行っている方は、2025年3月17日(月)まで(3月15日が土曜日のため翌月曜日。こちらも正式な期限は国税庁の発表をご確認ください)に提出が必要です。まだの方は早めにご対応ください。

ステップ2:会計ソフトを選ぶ

複式簿記での記帳を手書きで行うのは大変です。クラウド会計ソフトを導入すれば、銀行口座やクレジットカードとの連携で取引を自動取得し、仕訳の候補を提案してくれます。代表的なサービスとしては「freee会計」「マネーフォワード クラウド確定申告」「弥生のクラウド確定申告」などが知られています。ご自身の事業規模や使いやすさに合わせて選びましょう。

ステップ3:日々の取引をこまめに記帳する

レシートや請求書を溜め込んでしまうと、確定申告の直前に大慌てすることになります。できれば週に1回、難しければ月に1回は会計ソフトに入力する習慣をつけましょう。以下のような書類は必ず保存してください。


これらの帳簿書類は原則として7年間の保存が義務付けられています(所得税法施行規則第63条等)。

ステップ4:e-Taxの準備をする

65万円控除のためにe-Taxを選ぶ方は、早めにマイナンバーカードを取得し、ICカードリーダーまたはスマートフォンでの読み取り環境を整えておきましょう。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで申告書を作成・送信できます。

今からでも間に合う!青色申告準備チェックリスト

以下のチェックリストで、ご自身の準備状況を確認してみてください。


チェックが付かない項目がある方も焦る必要はありません。一つずつ対応していけば大丈夫です。判断に迷うことがあれば、早めに税理士に相談されることをおすすめします。

青色申告で特に注意したいポイント

家事按分を正しく計算する

自宅を事務所として使っている場合、家賃や光熱費の一部を経費にできます(いわゆる家事按分)。ただし、事業で使っている割合を合理的に計算し、根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

売上の計上時期に注意する

売上は原則として「役務の提供が完了した日」や「商品を引き渡した日」に計上します。入金日ではありませんのでご注意ください。計上時期を間違えると、税務調査で指摘される可能性があります。

開業費の取り扱い

開業前にかかった費用(市場調査費、打ち合わせの交通費など)は「開業費」として繰延資産に計上し、任意のタイミングで償却できます。レシートや記録を開業前からしっかり残しておきましょう。

まとめ:青色申告は「最初の一歩」が肝心です

青色申告は、最大65万円の特別控除をはじめ、赤字の繰越控除、専従者給与の経費算入など、個人事業主にとって大きな節税メリットがある制度です。ポイントは以下の3つです。


「自分にできるか不安…」「途中でつまずいてしまった…」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。平川文菜税理士事務所では、創業したばかりの個人事業主の方に寄り添い、青色申告の導入から日々の経理体制の構築までサポートしております。

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