「売上はそこそこあるのに、なぜか手元にお金が残らない…」
「経費にできるものを見落としているかもしれないけれど、何が経費になるのかよくわからない…」

スタートアップの経営者や個人事業主の方から、確定申告シーズンになるとこうしたご相談をたくさんいただきます。実は、きちんと経費として計上できるのに「知らなかった」「忘れていた」というだけで、数万円〜数十万円の節税チャンスを逃しているケースは珍しくありません。

この記事では、平川文菜税理士事務所が実際のご相談の中でよく見かける「見落としがちな経費5選」を、具体的な金額例とともにやさしく解説します。2025年分(2026年2月〜3月申告)の確定申告準備にぜひお役立てください。

見落としがちな経費①:自宅兼事務所の家賃・光熱費(家事按分)

スタートアップの初期段階では、自宅の一部を仕事場として使っている方がとても多いです。この場合、家賃や光熱費、インターネット回線料金などの一部を「家事按分(かじあんぶん)」として経費に計上できます。

家事按分の考え方

家事按分とは、プライベートと事業の両方に使っている支出について、事業で使っている割合だけを経費にする方法です。按分の基準としては、以下のようなものが一般的です。

  • 面積基準:自宅全体の面積に対して、仕事専用スペースが占める割合
  • 時間基準:1日のうち仕事に使っている時間の割合

具体例

たとえば、家賃が月10万円で、自宅の面積60㎡のうち仕事専用スペースが15㎡の場合、按分割合は15㎡÷60㎡=25%です。

月10万円×25%=月2.5万円、年間で30万円が経費になります。光熱費やネット回線も同様に按分できるため、合計すると意外に大きな金額です。

※按分割合は合理的な根拠が求められます。税務調査で説明できるよう、計算根拠はメモに残しておきましょう。

見落としがちな経費②:少額減価償却資産の特例

パソコンや業務用の家具など、取得価額が10万円以上30万円未満の資産について、一定の要件を満たす中小企業者等は、取得した年度に全額を経費として計上できる特例があります(租税特別措置法第28条の2〈個人〉・第67条の5〈法人〉)。

通常の処理との違い

  • 通常:10万円以上の資産は「減価償却」として数年にわたって経費化
  • 特例適用:30万円未満であれば、その年に一括で経費計上が可能(年間合計300万円が上限)

具体例

25万円のノートパソコンを購入した場合、通常なら耐用年数4年で毎年約6万円ずつ経費にしますが、この特例を使えば購入年に25万円をまるごと経費にできます。

【ご注意ください】この特例には適用期限があり、対象となる事業者の要件(青色申告であること、常時使用する従業員数など)や金額の上限は税制改正により変更される可能性があります。適用にあたっては、必ず最新の法令情報をご確認いただくか、税理士にご相談ください。

見落としがちな経費③:研修費・書籍代・サブスクリプション

事業に関連するスキルアップのための支出は、経費として認められます。しかし、「勉強は自己投資だから経費にならないのでは?」と思い込んでいる方が少なくありません。

経費にできる具体例

  • 事業に直接関係するセミナー・研修の参加費
  • 業務に関連する書籍・電子書籍の購入費
  • オンライン学習プラットフォーム(Udemy、Schoo等)の利用料
  • 業務用ソフトウェアのサブスクリプション(Adobe、会計ソフト、チャットツール等)

月額1,000円〜3,000円程度のサブスクでも、5つ契約していれば年間で6万円〜18万円になります。領収書やクレジットカード明細を整理して、漏れなく計上しましょう。

※事業との関連性が薄いもの(趣味の書籍など)は経費として認められませんのでご注意ください。

見落としがちな経費④:交通費・出張旅費

取引先への訪問、セミナー参加、打ち合わせなどに伴う交通費は当然経費になりますが、記録をつけていないために計上漏れになるケースがとても多いです。

見落としやすいポイント

  • ICカード(Suica・PASMO等)で支払った電車・バス代
  • コインパーキングの駐車料金
  • 自家用車を業務利用した場合のガソリン代(家事按分が必要)
  • 出張時の宿泊費

特にICカード利用分は領収書が残りにくいため、交通費精算の記録(日付・行先・目的・金額)をExcelやアプリでこまめにつけておくことをおすすめします。年間で数万円〜十数万円の差が出ることも珍しくありません。

見落としがちな経費⑤:通信費・クラウドサービス利用料

スマートフォンの通話料やデータ通信料、Wi-Fiルーターの利用料なども、事業で使っている分は経費になります。

具体例

  • スマートフォンの月額料金(事業利用割合で按分)
  • クラウドストレージ(Google Workspace、Dropbox等)の利用料
  • ホームページのサーバー代・ドメイン代
  • ZoomやMicrosoft Teams等のオンライン会議ツール利用料

たとえば、スマートフォンの月額料金8,000円のうち事業利用割合が60%なら、月4,800円×12か月=年間57,600円が経費です。クラウドサービスと合わせると、年間10万円を超えることも十分あり得ます。

【まとめ】経費の見直しだけで数十万円の節税になることも

今回ご紹介した5つの見落としがちな経費をまとめます。

  • ①家事按分(家賃・光熱費・ネット回線)
  • ②少額減価償却資産の特例(30万円未満の資産を一括経費化)
  • ③研修費・書籍代・サブスク(スキルアップ関連費用)
  • ④交通費・出張旅費(IC カード利用分の記録漏れに注意)
  • ⑤通信費・クラウドサービス利用料(スマホ代の按分を忘れずに)

これらをすべて適切に計上するだけで、年間で数十万円の節税につながるケースは珍しくありません。とはいえ、「自分の場合はどこまで経費にできるの?」「按分の割合は妥当?」といった判断に迷うこともあると思います。

平川文菜税理士事務所では、スタートアップ経営者や個人事業主の方を対象に、確定申告や日々の経理に関するご相談を承っております。「こんなこと聞いてもいいのかな?」という小さな疑問でも、どうぞお気軽にご相談ください。

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※本記事の内容は2025年7月時点の情報に基づいています。税制は毎年改正される可能性がありますので、実際の申告にあたっては最新の法令をご確認いただくか、税理士にご相談ください。