「確定申告で還付になるはずなのに、いつまで経っても振り込まれない…」
「還付金の金額が思っていたより少ないけど、計算間違い?」
創業期のスタートアップ経営者や個人事業主の方から、確定申告シーズンの後にこうしたご相談をいただくことが本当に多くあります。
設備投資や人件費が先行して赤字になりやすい創業期は、源泉徴収された税額のほうが本来の税額よりも大きくなり、確定申告で「還付」になるケースが少なくありません。しかし、還付金がいつ届くのか、届かなかったらどうすればいいのかは、意外と情報が整理されていないものです。
この記事では、還付金の計算ロジックから入金スケジュール、振込先口座の注意点、届かない場合の問い合わせ方法までまとめて解説します。
そもそも「還付金」とは?なぜ創業期に発生しやすいのか
還付金の基本的な仕組み
還付金とは、確定申告によって計算された「本来納めるべき税額」よりも、すでに納付済みの税額(源泉徴収税額や予定納税額)のほうが多い場合に、その差額が戻ってくるお金のことです。
計算式はシンプルです。
- 還付金額 = 源泉徴収税額(+予定納税額)− 確定申告で算出された所得税額
たとえば、フリーランスとして業務委託報酬を受け取っている場合、報酬から10.21%の源泉徴収がされています。年間の報酬合計が500万円であれば、約51万円が源泉徴収されていることになります。一方、必要経費や各種控除を差し引いた結果、所得税額が20万円と計算されれば、差額の約31万円が還付される仕組みです。
創業期に還付が起きやすい理由
スタートアップや創業間もない個人事業主の場合、以下のような理由から還付申告になりやすい傾向があります。
- 設備投資や広告宣伝費など初期費用が大きく、事業所得が赤字になる
- 業務委託契約の報酬から源泉徴収されているが、経費を差し引くと税額がゼロに近い
- 青色申告特別控除(最大65万円)を適用することで課税所得が大幅に減少する
- 開業届と同時に青色申告承認申請を提出しており、赤字の繰越控除が使える
還付金はいつ振り込まれる?入金までのスケジュール
書面申告の場合:1か月〜1か月半程度
税務署の窓口や郵送で確定申告書を提出した場合、還付金の振込までにおおむね1か月〜1か月半程度かかります。確定申告期間(2月16日〜3月15日)に提出が集中するため、3月15日ギリギリに提出した場合は4月下旬〜5月上旬になることも珍しくありません。
e-Tax申告の場合:2〜3週間程度
e-Tax(電子申告)で提出した場合は処理が早く、おおむね2〜3週間程度で還付されます。国税庁も公式に「e-Taxで申告された還付申告は、書面提出に比べて早期に処理するよう努めています」と案内しています。
1月に還付申告を提出した場合、2月中旬ごろには振り込まれるケースもあります。急ぎで還付を受けたいスタートアップ経営者の方は、e-Taxでの早期申告がおすすめです。
還付金の処理状況を確認する方法
e-Taxを利用した方は、e-Taxの「メッセージボックス」で還付金の処理状況を確認できます。「還付金の処理状況」という通知が届き、振込予定日や金額が記載されていますので、こまめにチェックしてみてください。
振込先口座の注意点 ― ここでつまずく方が多い
還付金が届かない原因として意外に多いのが、振込先口座の記載ミスや不備です。以下の点にご注意ください。
- 申告者本人名義の口座のみ有効:屋号付き口座や法人名義の口座は指定できません(個人の確定申告の場合)。
- ネット銀行の一部は指定できない場合あり:多くのネット銀行は対応していますが、一部の銀行では還付金の受取ができないことがあります。ゆうちょ銀行やメガバンクの口座が確実です。
- 口座番号・支店名の記載ミス:1桁でも間違えると振込ができず、税務署から通知が届くまで時間をロスします。
ゆうちょ銀行を指定する場合は、「記号・番号」での記載になりますので、確定申告書の記載欄を間違えないようご注意ください。
還付金が届かないときの対処法
ステップ1:時期の目安を確認する
まずは前述のスケジュールを目安に、まだ処理期間内でないかを確認しましょう。特に2〜3月に提出した場合、申告が集中しているため通常より時間がかかることがあります。
ステップ2:e-Taxのメッセージボックスを確認
e-Taxで申告した方は、メッセージボックスに処理状況の通知が届いていないか確認してください。まだ「処理中」であれば、もう少し待ちましょう。
ステップ3:「国税還付金振込通知書」を確認
還付金が振り込まれる際には、税務署から「国税還付金振込通知書」というハガキが届きます。このハガキが届いているのに口座に入金がない場合は、振込先の口座情報に問題がある可能性があります。
ステップ4:管轄の税務署に電話で問い合わせ
提出から2か月以上経過しても何の連絡もない場合は、管轄の税務署に直接電話で問い合わせましょう。問い合わせの際は以下の情報を手元に用意するとスムーズです。
- 申告者の氏名・住所・生年月日
- 申告書を提出した日付
- 申告書に記載した還付金額
- 整理番号(申告書控えに記載)
「還付金額が思ったより少ない」場合のチェックポイント
還付金が振り込まれたものの、想定していた金額と異なるケースもあります。主な原因は以下の通りです。
- 住民税や国民健康保険料などの滞納がある場合:還付金が未納の税金に自動的に充当されることがあります。
- 申告内容に修正が入った場合:税務署の審査で経費の一部が認められなかった場合など、修正後の税額に基づいて還付されることがあります。この場合は「更正通知書」が届きます。
- 復興特別所得税の計算漏れ:所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を含めて計算しているか、改めて確認してみてください。
法人の場合の還付金について
なお、法人税の確定申告で還付が生じる場合(中間納付額が確定税額を上回る場合など)は、個人の所得税とは別の手続き・スケジュールとなります。法人税の還付金は、確定申告書提出後おおむね1か月〜2か月程度で処理されるのが一般的です。法人の場合は「欠損金の繰戻し還付」制度を活用できる場合もありますので、創業期の赤字がある場合はぜひご検討ください。
まとめ:還付申告は「出して終わり」ではない
確定申告で還付になる場合のポイントを整理します。
- 還付金は「源泉徴収税額等 − 確定税額」の差額が戻ってくる仕組み
- 入金時期は、書面提出で1〜1.5か月、e-Taxで2〜3週間が目安
- 振込先口座は本人名義のみ有効。記載ミスに注意
- 届かない場合はe-Tax確認→税務署へ電話の順で対応
- 金額が少ない場合は、滞納充当や申告修正の可能性を確認
創業期は資金繰りが厳しく、還付金をあてにしているケースもあるかと思います。「いつ届くかわからない」という不安を抱えたまま事業に集中するのは大変です。
平川文菜税理士事務所では、スタートアップ・個人事業主の方の確定申告サポートを数多く行っております。還付申告の計算チェックから、届かない場合の税務署対応まで、まるごとお任せいただけます。
「この還付金額で合っているのか不安」「まだ届かないけど大丈夫?」など、お気軽にご相談ください。
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