「創業して間もないから、そこまで節税できることはないだろう…」そんなふうに思っていませんか?
2025年分の確定申告シーズンが到来しました。スタートアップ経営者や個人事業主の方の中には、初めての確定申告、あるいはまだ数回目という方も多いのではないでしょうか。日々の事業運営に追われ、「とりあえず売上と経費だけ入力して提出すればいいや」と考えてしまう気持ちはよく分かります。
しかし、創業初期だからこそ活用できる制度や、意外と見落としがちな経費・控除のポイントが数多く存在します。これらを知らずに申告してしまうと、数十万円単位で手残りが変わることも珍しくありません。
この記事では、平川文菜税理士事務所がスタートアップ経営者の確定申告をサポートする中で「もったいない!」と感じることが多い節税ポイントを5つ厳選してお伝えします。ぜひ最後までお読みいただき、2025年分の申告に活かしてください。
ポイント①:開業費の「任意償却」を活用していますか?
スタートアップ経営者が最も見落としやすいのが、開業費の任意償却です。
開業前にかかった費用(市場調査費、セミナー参加費、名刺・パンフレット作成費、打ち合わせの交通費など)は「開業費」として繰延資産に計上できます。この開業費は、会計上は5年均等償却が原則ですが、税務上は「任意償却」が認められており、好きなタイミングで好きな金額を経費にできるのです。
具体例
たとえば、開業前に合計80万円の開業費がかかったとします。創業1年目は赤字だったので償却せず据え置き、2年目に利益が300万円出たタイミングで80万円全額を一括償却する——こういった柔軟な使い方が可能です。所得税率が20%の方であれば、それだけで約16万円の節税になります。
注意点
- 開業費として認められるのは、開業準備のために「特別に支出した費用」です。
- 10万円以上の固定資産の購入費は開業費ではなく、減価償却資産として別途処理が必要です。
- 領収書やレシートをしっかり保管し、開業との関連性を説明できるようにしておきましょう。
ポイント②:青色申告特別控除「65万円」の要件を満たしていますか?
個人事業主の方で青色申告を選択している場合、最大65万円の特別控除を受けられることはご存じの方も多いでしょう。しかし、実際には要件を満たせず10万円控除にとどまっているケースが少なくありません。
65万円控除の主な要件
- 複式簿記で記帳していること
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
- e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行っていること
特に3つ目の要件は2020年分(令和2年分)の申告から適用されていますが、まだ紙で提出している方もいらっしゃいます。紙提出の場合、控除額は55万円に減額されてしまいます。
65万円と10万円の差は55万円。所得税率20%+住民税10%で計算すると、約16.5万円の差額になります。クラウド会計ソフトを使えば複式簿記のハードルは大きく下がりますので、ぜひ対応しておきましょう。
ポイント③:家事按分の「按分基準」を適切に設定していますか?
自宅兼事務所で事業を行っているスタートアップ経営者は多いですが、家賃や光熱費、通信費の家事按分を「なんとなく」で処理している、あるいは「プライベートと混在しているから経費にしていない」という方が意外と多くいらっしゃいます。
按分できる主な経費と按分基準の例
- 家賃・住宅ローンの利息:事業使用面積の割合(例:全体60㎡のうち事業用15㎡なら25%)
- 電気代:事業使用面積の割合、または使用時間の割合
- インターネット・携帯電話代:業務使用時間の割合(例:1日のうち8時間業務利用なら約50%)
- 車両関連費(ガソリン代・保険料・車検代):業務走行距離の割合
たとえば家賃10万円で按分割合30%なら、年間36万円が経費になります。「少しでもプライベート利用があるから全額ダメ」ではなく、合理的な基準があれば事業利用分は堂々と経費計上できます。
ただし、按分割合の根拠は税務調査で問われる可能性がありますので、どのような基準で按分したかを書面やデータで残しておくことが重要です。
ポイント④:小規模企業共済・iDeCoを活用していますか?
経費の計上だけでなく、「所得控除」を最大限に活用することも節税の大きな柱です。スタートアップ経営者にぜひ検討していただきたいのが、以下の2つの制度です。
小規模企業共済
- 個人事業主や小規模法人の役員が加入できる「経営者の退職金制度」
- 掛金は月額1,000円〜70,000円の範囲で自由に設定可能
- 掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象
- 満額(月7万円)で年間84万円の所得控除が可能
iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 自営業者(第1号被保険者)の場合、掛金上限は月額68,000円(国民年金基金との合算枠)
- こちらも掛金の全額が所得控除の対象
仮に小規模企業共済を月7万円、iDeCoを月2万円拠出した場合、合計で年間108万円の所得控除となります。課税所得が500万円の方であれば、所得税率20%+住民税10%として約32.4万円の節税効果が見込めます。
「まだ売上が安定していないから…」という方も、小規模企業共済は月1,000円から始められます。まずは少額でスタートし、事業が軌道に乗ったら増額するのがおすすめです。
ポイント⑤:少額減価償却資産の特例を使い切っていますか?
青色申告をしている中小企業者・個人事業主は、取得価額30万円未満の減価償却資産を、年間合計300万円まで全額即時償却できる特例(少額減価償却資産の特例)を利用できます。
対象となる資産の例
- パソコン(例:25万円のノートPC → 購入年度に全額経費)
- デスク・チェアなどのオフィス家具
- ソフトウェア(パッケージ版)
- カメラ、プリンターなどの周辺機器
通常、10万円以上の資産は耐用年数に応じて数年かけて減価償却しなければなりません。しかし、この特例を使えば購入した年度に一括で経費にできるため、利益が出た年度に設備投資を集中させることで効率的な節税が可能です。
注意点
- この特例は青色申告者限定です。白色申告では利用できません。
- 適用期限が設けられている時限措置です。2025年分(令和7年分)については令和8年3月31日までの取得が対象とされていますが、最新の税制改正情報を必ずご確認ください。
- 1件あたり30万円未満が条件です。税込経理の場合は税込金額、税抜経理の場合は税抜金額で判定します。
まとめ:創業初期こそ「知っているかどうか」で大きな差がつく
今回ご紹介した5つのポイントをおさらいします。
- ①開業費の任意償却 → 利益が出た年に一括で経費化
- ②青色申告特別控除65万円 → e-Tax+複式簿記で最大控除を確保
- ③家事按分の適切な設定 → 自宅兼事務所の経費を見逃さない
- ④小規模企業共済・iDeCo → 掛金全額が所得控除の強力な制度
- ⑤少額減価償却資産の特例 → 30万円未満の資産を即時償却
これらをすべて適切に活用すれば、年間で数十万円以上の節税につながるケースも珍しくありません。創業初期は資金繰りが厳しいからこそ、税金の「手残り」を最大化することが事業の成長スピードを左右します。
「自分のケースではどの制度が使えるのか分からない」「確定申告の準備が追いつかない」——そんなお悩みがあれば、ぜひ平川文菜税理士事務所にご相談ください。スタートアップ経営者・個人事業主の確定申告や税務顧問を数多くサポートしてきた経験をもとに、あなたの状況に合った最適な節税プランをご提案いたします。
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