「クラウド会計ソフトを導入したいけど、結局どれがいいの?」――創業相談にいらっしゃるお客様から、もっとも多くいただくご質問の一つがこれです。ネットで調べれば調べるほど情報が多すぎて、かえって迷ってしまいますよね。
私は税理士として、これまで数多くのスタートアップや個人事業主の方の創業支援に携わってきました。freee・マネーフォワードクラウド・弥生オンラインの3つは、実際にお客様と一緒に使い込んできたソフトです。今回は、日々の実務で感じている本音を、記帳のしやすさ・税理士連携・コストの3つの視点からお伝えします。
この記事を読めば、あなたの事業規模や業種にピッタリの一つがきっと見つかるはずです。最後に導入時に設定しておくべき初期項目チェックリストもご用意しましたので、ぜひご活用ください。
クラウド会計ソフト3大サービスの基本情報
まずは、2024年現在の主要3ソフトの概要を押さえておきましょう。
- freee会計:シェアNo.1クラスのクラウド会計。スマホアプリの操作性が高く、簿記知識がなくても使いやすい設計。個人事業主向けスタータープランは月額1,480円(税抜)~。
- マネーフォワードクラウド会計:家計簿アプリで有名なマネーフォワードの事業者向けサービス。仕訳形式に近いUIで、経理経験者や税理士との親和性が高い。個人向けパーソナルプランは月額1,280円(税抜)~。
- 弥生オンライン(やよいの青色申告オンライン/弥生会計オンライン):老舗の弥生が提供するクラウド版。初年度無料キャンペーンを長年実施しており、コスト面でのハードルが低い。セルフプランは年額11,330円(税抜)~、初年度0円のプランあり。
比較①:日々の記帳のしやすさ
freee ― 簿記を知らなくてもOK
freeeの最大の特長は、「取引」ベースの入力画面です。「収入」「支出」を選んで、日付・金額・勘定科目を入れるだけ。借方・貸方といった複式簿記の概念を意識する必要がありません。銀行口座やクレジットカードとの自動連携もスムーズで、AIによる自動仕訳の精度も年々向上しています。
スマホアプリからレシートを撮影して経費登録できるのも、外出の多い経営者にはうれしいポイントです。
マネーフォワード ― 経理経験があるならサクサク
マネーフォワードクラウドは、伝統的な仕訳形式に近い画面構成です。勘定科目の検索性が高く、複合仕訳にも対応しやすいため、少しでも簿記の知識がある方や、経理担当者がいる法人にはとても使いやすく感じるでしょう。
また、給与計算・請求書・経費精算などの関連サービスとワンストップで連携できるため、従業員を雇い始めたフェーズでもスムーズに拡張できます。
弥生オンライン ― 安定感のあるシンプル設計
弥生オンラインは、画面がシンプルで迷いにくいのが魅力です。長年のインストール版で培ったUIの知見が活かされており、入力ガイドも丁寧。ただし、自動仕訳の柔軟性やスマホアプリの使い勝手はfreeeやマネーフォワードにやや譲る印象があります。
比較②:税理士との連携
ここは創業支援の現場にいる私が特にお伝えしたいポイントです。
税理士側の対応状況
正直に申し上げると、マネーフォワードクラウドとfreeeは多くの税理士事務所が対応しています。特にマネーフォワードは仕訳形式が従来の会計ソフトに近いため、税理士側のチェック作業がスムーズです。freeeも税理士向けの「アドバイザー制度」が充実しており、データ共有のしくみが整っています。
弥生オンラインは、弥生会計(デスクトップ版)を長年使ってきた税理士事務所との連携には強いですが、クラウド版への移行がまだ進んでいない事務所もあるのが実情です。
当事務所の場合
平川文菜税理士事務所では、freee・マネーフォワードクラウド・弥生オンラインいずれにも対応しております。お客様の状況に合わせて最適なソフトをご提案しますので、「先に契約してしまったけど大丈夫かな?」という方もご安心ください。
比較③:コスト面
創業期はとにかく固定費を抑えたいもの。各ソフトの代表的なプランを比較してみましょう(2024年時点・税抜)。
- freee(個人・スターター):月額1,480円 / 年額11,760円
- マネーフォワード(個人・パーソナル):月額1,280円 / 年額11,760円
- 弥生(やよいの青色申告オンライン・セルフプラン):年額11,330円 ※初年度無料
法人プランの場合、freeeは月額2,680円~、マネーフォワードは月額3,278円~(年払い時の月額換算)、弥生会計オンラインは年額28,600円~(初年度無料プランあり)となっています。
初期コストを最小限にしたいなら弥生の初年度無料は非常に魅力的です。一方、長期的なランニングコストは3社で大きな差はありません。むしろ、操作につまずいて時間を浪費するコストのほうが大きいので、「使いやすさ」を優先して選ぶのがおすすめです。
事業規模・業種別おすすめパターン
パターン1:開業したての個人事業主(売上1,000万円未満)
→ freeeがおすすめ。簿記の知識がなくても直感的に操作でき、確定申告までスマホ一つで完結できます。スタータープランで十分対応可能です。
パターン2:従業員を雇用する小規模法人(従業員1~10名程度)
→ マネーフォワードクラウドがおすすめ。会計・給与・勤怠・請求書をワンプラットフォームで管理できるため、バックオフィス全体の効率化が図れます。
パターン3:まずはコストゼロで試したい方
→ 弥生オンラインがおすすめ。初年度無料で基本機能をしっかり使えるので、「合わなければ翌年に乗り換える」という判断もしやすいです。
パターン4:EC・ネットショップ運営
→ freeeがおすすめ。Shopify・BASEなど主要ECプラットフォームとのAPI連携が充実しており、売上データの自動取り込みで記帳の手間を大幅に削減できます。
【チェックリスト】導入時に設定しておくべき初期項目
どのソフトを選んでも、最初の設定をしっかり行うことで後々の手間が激減します。以下のチェックリストを参考にしてください。
- ☐ 事業者情報の登録(屋号・法人名、住所、代表者名、設立年月日)
- ☐ 会計期間(事業年度)の設定(個人は1月~12月、法人は定款で定めた期間)
- ☐ 勘定科目の確認・カスタマイズ(業種特有の科目がある場合は追加)
- ☐ 銀行口座・クレジットカードの連携(事業用口座をすべて登録)
- ☐ 開始残高(期首残高)の入力(創業時の元入金・資本金など)
- ☐ 消費税の課税方式の設定(免税事業者 or 課税事業者、簡易課税の選択)
- ☐ インボイス登録番号の登録(適格請求書発行事業者の場合)
- ☐ 自動仕訳ルールの初期設定(よく使う取引先と勘定科目の紐付け)
- ☐ ユーザー権限の設定(税理士や経理担当者への閲覧・編集権限の付与)
特に銀行口座連携と自動仕訳ルールは、最初に丁寧に設定しておくと、日々の記帳作業が驚くほどラクになります。わからない項目がある場合は、遠慮なく税理士にご相談ください。
まとめ:大切なのは「自分に合ったソフト」を選ぶこと
freee・マネーフォワード・弥生、どれも優れたクラウド会計ソフトであり、「これが絶対正解」というものはありません。大切なのは、ご自身の簿記知識・事業規模・将来の拡張性に合ったものを選ぶことです。
改めてポイントを整理すると:
- 簿記に自信がない・スマホで手軽に → freee
- 経理経験あり・バックオフィスを一元管理 → マネーフォワードクラウド
- まずは無料で始めたい・シンプルに使いたい → 弥生オンライン
また、どのソフトを選んでも、税理士と連携することで導入から運用までスムーズに進められます。「設定が不安」「どのプランが自分に合うかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
平川文菜税理士事務所では、クラウド会計の導入サポートから日々の記帳指導、確定申告・決算まで一貫してお手伝いしております。初回のご相談は無料ですので、「まずは話を聞いてみたい」という段階でも大歓迎です。お問い合わせフォームまたはお電話にて、お気軽にご連絡ください。
