「まだ売上も少ないし、税理士に頼むのはもう少し先でいいかな」──創業したばかりの経営者の方から、このような声をよくお聞きします。限られた資金の中で、毎月の顧問料を払うことに抵抗を感じるのは当然のことです。
しかし、実際に多くの経営者をサポートしてきた経験から申し上げると、「もっと早く相談しておけばよかった」というお声が圧倒的に多いのが現実です。創業期に適切な税務の土台をつくっておくことで、数年後に数十万円〜数百万円単位のコスト差が生まれることも珍しくありません。
この記事では、スタートアップ経営者・個人事業主・小規模法人の経営者の方に向けて、税理士をつけるべきタイミングと費用対効果の考え方を、フェーズ別にわかりやすく解説します。
創業期に税理士がいないと起こりがちな3つの失敗
まずは、税理士をつけずに走り出した結果、後から問題になりやすいケースを見てみましょう。
1. 届出書の提出漏れで節税チャンスを逃す
法人設立や開業時には、「青色申告承認申請書」「消費税の課税事業者選択届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」など、期限内に提出しなければ適用を受けられない届出書が複数あります。
たとえば、青色申告の承認申請を出し忘れた場合、最大65万円の青色申告特別控除が受けられず、所得税・住民税を合わせると年間約20万円以上の損失になるケースもあります。法人であれば、青色申告でなければ欠損金の繰越控除(最大10年間)が使えず、将来黒字化したときの税負担に大きく影響します。
2. 経費の判断を誤り、税務調査で指摘を受ける
「これは経費にしていいのか?」という判断は、創業初期ほど曖昧になりがちです。自宅兼事務所の家賃按分、開業前に支出した費用(開業費)の扱い、交際費と会議費の区分など、正しい処理を知らないまま申告してしまうと、後の税務調査で追徴課税を受けるリスクがあります。
追徴課税には過少申告加算税(原則10%〜15%)や延滞税がかかるため、本来払うべき税額以上の負担が発生します。
3. 記帳が溜まり、決算直前にパニックになる
「確定申告の時期になって1年分のレシートを段ボール箱から出してきた」という話は、決して珍しくありません。記帳が追いつかないまま決算を迎えると、正確な利益が把握できず、節税対策を打つタイミングを完全に逃してしまいます。また、まとめて記帳代行を依頼すると通常より割高になることも多く、結果的にコストがかさみます。
フェーズ別・税理士との最適な関わり方
「いきなり顧問契約はハードルが高い」と感じる方もいらっしゃるでしょう。実は、税理士との関わり方にはいくつかの選択肢があり、事業のフェーズに合わせて使い分けることができます。
フェーズ1:開業準備〜開業直後(売上ゼロ〜月商50万円程度)
おすすめの関わり方:スポット相談(単発相談)
- 費用の目安:1回あたり5,000円〜30,000円程度
- 設立届出書・青色申告承認申請書の確認
- 個人事業と法人設立どちらが有利かの判断
- 会計ソフトの初期設定・勘定科目の整理
この段階では毎月の顧問契約は不要なケースが多いですが、最初の設定を間違えないための「初期相談」は費用対効果が非常に高いといえます。たった1回の相談で、年間数十万円の節税効果につながることもあります。
フェーズ2:事業が軌道に乗り始めた頃(月商50万〜200万円程度)
おすすめの関わり方:記帳代行+決算申告のセットプラン
- 費用の目安:月額10,000円〜30,000円+決算料
- 月々の記帳を専門家に任せ、本業に集中できる
- 消費税の課税事業者になるタイミングの判断
- 決算前に節税対策の提案を受けられる
売上が増えてくると取引量も増え、経費の判断も複雑になります。経営者自身が帳簿付けに費やす時間を時給換算すると、記帳代行の費用を上回っているケースは少なくありません。月に10時間を記帳に使っている経営者の時給を3,000円と仮定しても、月30,000円のコストを自ら負担していることになります。
フェーズ3:従業員を雇用・事業拡大期(月商200万円以上〜)
おすすめの関わり方:月次顧問契約
- 費用の目安:月額20,000円〜50,000円+決算料
- 月次での業績報告・資金繰り相談
- 給与計算・年末調整・社会保険手続きのサポート
- 融資や補助金申請時の事業計画書作成支援
- 役員報酬の設定や法人・個人のトータル税負担の最適化
この段階では、税務だけでなく経営判断のパートナーとしての役割が大きくなります。「今期の利益見込みに対して、どのタイミングで設備投資をすべきか」「役員報酬はいくらに設定するのが最適か」など、数字に基づいた意思決定が事業の成長を左右します。
費用対効果を判断する3つの視点
「税理士費用は高い」と感じる方に、ぜひ持っていただきたい判断軸をお伝えします。
視点1:「払わなくて済んだ税金」で考える
たとえば、税理士に年間30万円の顧問料を払い、結果として50万円の節税ができたなら、実質的に20万円のプラスです。届出書の提出漏れや経費計上の誤りによる損失は、気づかないまま毎年発生し続ける点が怖いところです。
視点2:「経営者の時間の価値」で考える
記帳・税務申告・届出書の作成など、税理士に任せれば不要になる作業時間を金額換算してみてください。中小企業庁の調査によれば、小規模事業者が税務・会計業務に費やす時間は年間平均100時間以上とも言われています。その時間を営業活動や商品開発に充てた方が、事業成長への寄与は大きいはずです。
視点3:「将来のリスク回避コスト」で考える
税務調査で過去数年分の申告誤りが見つかった場合、修正申告にかかる追徴税額・加算税・延滞税に加え、税理士への修正申告費用も発生します。過少申告加算税だけでも追加納付税額の10%〜15%、悪質と判断されれば重加算税35%〜40%が課されます。「後から直すコスト」は、「最初から正しくやるコスト」の何倍にもなることを知っておいてください。
まとめ:創業期こそ、税理士を「投資」として活用しよう
創業期に税理士をつけることは「コスト」ではなく、将来の節税効果・時間創出・リスク回避を生む「投資」です。
- 開業直後はスポット相談で初期設定を正しく行う
- 事業が軌道に乗ったら記帳代行で本業に集中する
- 拡大期には月次顧問で経営判断のパートナーを得る
「まだ早い」と思っているその瞬間が、実は一番コストパフォーマンスの高いタイミングかもしれません。
平川文菜税理士事務所では、創業期の経営者の方に向けて、フェーズに合わせた柔軟なサポートプランをご用意しています。「まずは話を聞いてみたい」という段階でもお気軽にどうぞ。初回のご相談で、届出書の確認や今後の税務スケジュールの整理だけでも、大きな安心につながります。
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