「納期の特例を届け出たはずだけど、本当に受理されている?」「半年分の源泉所得税、計算が合っているか不安……」──創業して間もない法人や個人事業主にとって、7月10日の納付期限は毎年ヒヤリとするタイミングです。本記事では、2026年7月10日の納付期限に向けて、届出の確認方法から納付額の計算手順、よくあるミスまでを一つずつ整理します。

01そもそも「納期の特例」とは?対象と届出の基本

源泉所得税は原則として、給与や報酬を支払った翌月10日までに納付する必要があります。しかし、給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することで、年2回のまとめ納付が認められます。

納付スケジュール

  • 1月~6月支払分 → 7月10日までに納付
  • 7月~12月支払分 → 翌年1月20日までに納付

2026年7月10日が今回の期限にあたり、2026年1月から6月までに支払った給与・賞与・税理士報酬等にかかる源泉所得税をまとめて納付します。なお、7月10日は金曜日ですので、期限の延長はありません。

02届出が受理されているかを確認する方法

創業期に最も多い落とし穴が「届出を出したつもりが受理されていなかった」というケースです。以下の方法で確認しましょう。

  1. 税務署からの通知書を探す:申請書を提出すると、後日「納期の特例の承認通知書」が届きます。手元に控えがあるか確認してください。
  2. 管轄税務署に電話で問い合わせる:通知書が見当たらない場合は、法人名(または屋号)と納税地を伝えれば、電話で承認状況を教えてもらえます。
  3. e-Taxの「申告・申請等一覧」で確認する:e-Taxで提出した場合は、メッセージボックスに受信通知が残っています。

注意:申請書を提出した月の翌月末日までに税務署から「却下の通知」がなければ承認されたものとみなされます(みなし承認)。ただし、提出したばかりの場合は注意が必要です。たとえば2026年6月に申請書を提出した場合、承認の効力が発生するのは提出月の翌月からとなるため、2026年6月支払分までは原則どおり翌月10日納付が必要です。

03半年分の納付額を正しく計算するステップ

半年分を一度に計算するため、月ごとの変動を見落とすとミスにつながります。以下の手順で進めましょう。

ステップ1:対象となる支払を洗い出す

2026年1月~6月に実際に「支払った」給与・賞与・税理士等への報酬が対象です。ここでの基準は「支給日」であり、「計算対象月」ではありません。たとえば、6月分の給与を7月5日に支払った場合は、今回の納付対象に含まれず、次回(2027年1月20日期限)の対象になります。

ステップ2:月ごとの源泉徴収税額を集計する

各月の給与明細または賃金台帳から、源泉徴収税額を月別に書き出します。Excelや会計ソフトの一覧表を活用するのがおすすめです。

ステップ3:賞与がある場合は別途計算

賞与の源泉徴収税額は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って計算します。毎月の給与とは異なる税率テーブルが適用されるため、給与と同じ方法で計算しないよう注意してください。

ステップ4:税理士報酬等の源泉税も忘れずに

税理士・弁護士・司法書士などへの報酬から源泉徴収した分も、同じ納付書(納期特例分)でまとめて納付します。報酬が100万円以下の場合は10.21%、100万円超の部分は20.42%の税率です。

ステップ5:合計額を納付書に記入する

上記すべてを合算した金額が、7月10日までに納付する源泉所得税の総額となります。

04よくある計算ミス3選

ミス1:給与改定月の反映漏れ

4月に昇給した場合、4月支給分から源泉徴収税額が変わります。1月~3月は旧給与、4月~6月は新給与で計算されているか、賃金台帳を確認しましょう。扶養控除等申告書の異動(結婚・出産など)も同様に反映漏れが起きやすいポイントです。

ミス2:賞与の源泉税率を給与の税額表で計算してしまう

賞与は「前月の社会保険料控除後の給与額」と「扶養親族の数」から算出率を求めます。月額表をそのまま使うと税額が大きくずれます。たとえば、前月の給与(社会保険料控除後)が30万円・扶養1人の場合、賞与の算出率は4.084%です。賞与額が50万円なら源泉税は約20,420円となります。月額表で計算すると全く異なる金額になるため要注意です。

ミス3:退職者の最終給与を集計から漏らす

半年の間に退職した従業員がいる場合、最終月の給与や未払賞与の源泉税も含める必要があります。退職後は意識から外れやすいため、退職者リストと照合しましょう。

ポイント:計算結果を検算するには、各月の預り金(源泉所得税)の残高推移と納付額の合計を突き合わせる方法が有効です。会計ソフトの「預り金」勘定の期首残高+期中発生額−期中納付額=期末残高、という式で矛盾がないか確認してみてください。

05納付書の書き方とe-Taxでの納付手順

紙の納付書を使う場合

「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)」を使用します。記入上のポイントは以下のとおりです。

  • 「支払年月日」欄には「260101~260630」のように半年間の期間を記入
  • 「人員」欄には延べ人数(例:従業員3人×6か月=18人)を記入
  • 「税額」欄には各区分(俸給・賞与・税理士等報酬)ごとの合計税額を記入
  • 「納期等の区分」は「自260101 至260630」と記入

記入済みの納付書を持参し、金融機関または所轄税務署の窓口で納付します。

e-Tax(ダイレクト納付・インターネットバンキング)を使う場合

  1. e-Taxソフトまたはe-Taxソフト(WEB版)にログイン
  2. 「申告・申請等」から「徴収高計算書」を選択し、納期特例分の計算書を作成
  3. 各項目(支払年月日、人員、支給額、税額)を入力して送信
  4. ダイレクト納付の届出済みであれば、「今すぐ納付」または「納付日指定」で口座引落しが可能

ダイレクト納付を利用するには、事前に「ダイレクト納付利用届出書」を税務署に提出し、届出から利用開始まで約1か月かかります。届出がまだの方は、インターネットバンキング(ペイジー)での納付も可能です。

06納付が遅れた場合のペナルティ

7月10日の期限を1日でも過ぎると、不納付加算税(原則10%、自主的な納付の場合は5%)が課される可能性があります。さらに、延滞税も日割りで発生します。ただし、過去1年以内に納付遅れがなく、法定納期限から1か月以内に納付した場合は不納付加算税が免除される救済措置もあります。

とはいえ、ペナルティの有無にかかわらず、期限内納付を心がけることが信用面でも重要です。カレンダーやタスク管理ツールに「7月8日:源泉税納付書作成」「7月9日:納付手続き」など余裕を持ったリマインダーを設定しておきましょう。

07創業期に押さえておきたいチェックリスト

  • 「納期の特例の承認に関する申請書」が受理されているか確認した
  • 2026年1月~6月に「支払日」が到来した給与・賞与・報酬を漏れなく集計した
  • 給与改定(昇給・降給)の反映を確認した
  • 賞与は専用の算出率表で源泉税を計算した
  • 退職者の最終給与分を含めた
  • 税理士等への報酬の源泉税を合算した
  • 納付書の「人員」「支給額」「税額」の記入内容を再確認した
  • 納付期限(2026年7月10日・金曜日)までに納付手続きを完了する段取りを組んだ
この記事のまとめ
  • 納期の特例を利用している場合、2026年1月~6月支払分の源泉所得税は7月10日(金)が納付期限
  • 届出の受理状況は、承認通知書・税務署への電話・e-Taxのメッセージボックスで確認できる
  • 給与改定月の反映漏れ、賞与の税率ミス、退職者の集計漏れが3大計算ミス
  • 紙の納付書は「納期特例分」の専用様式を使用し、e-Taxならダイレクト納付やペイジーで手続き可能
  • 納付遅れには不納付加算税(5~10%)と延滞税のリスクがあるため、余裕を持ったスケジュール管理を