「決算作業が終わらない」「領収書の整理すらできていない」「そもそも何から手をつければいいかわからない」――確定申告の期限が迫るこの時期、そんな焦りを感じているスタートアップ経営者の方は少なくありません。
創業初期は、資金調達・営業・採用・プロダクト開発と、やるべきことが山積みです。税務の優先順位がどうしても下がってしまうのは、ある意味当然のことかもしれません。しかし、「間に合わないから」と放置してしまうと、思わぬペナルティが課されることになります。
この記事では、期限後申告で発生するペナルティの仕組みと、そのペナルティを最小限に抑えるための具体的な対処法をわかりやすく解説します。「もう間に合わないかも…」と感じている方こそ、ぜひ最後までお読みください。
確定申告の期限はいつ?遅れるとどうなる?
所得税の確定申告の期限は、原則として毎年 3 月 15 日(土日祝の場合は翌営業日)です。
この期限を過ぎて申告することを「期限後申告」といいます。期限後申告自体は認められていますが、以下のペナルティが発生する可能性があります。
さらに、悪質な場合には重加算税(最大40%)が課されるケースもあります。「うっかり忘れていた」では済まされない金額になることもあるため、仕組みをしっかり理解しておきましょう。
無申告加算税の仕組みと税率
無申告加算税は、正当な理由なく期限内に申告しなかった場合に課される税金です。税率は以下のとおりです。
原則の税率
具体例で見てみましょう
たとえば、納付すべき所得税が100万円だった場合の無申告加算税は次のように計算されます。
本来の税金に加えて約17万円もの追加負担が発生します。スタートアップにとって、この金額は決して小さくありません。
税務署の調査前に自主的に申告した場合
ただし、税務署から指摘を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合、無申告加算税の税率は5%に軽減されます。先ほどの例(納付税額100万円)であれば、加算税は5万円で済みます。17万5,000円と5万円では大きな差です。つまり、「遅れてもいいから、とにかく早く自分から申告する」ことが極めて重要なのです。
延滞税の仕組みと計算方法
延滞税は、税金を法定納期限までに納付しなかった場合に発生する、いわば「利息」のようなものです。
延滞税の税率
延滞税は日割り計算で増えていきます。1日でも早く納付すれば、それだけ負担を減らせます。
具体例
納付税額100万円を、期限から1か月遅れで納付した場合の延滞税の目安は以下のとおりです。
100万円 × 2.4% × 30日 / 365日 ≒ 約1,973円
金額自体は無申告加算税に比べると小さいですが、放置期間が長くなるほど雪だるま式に増えていくため注意が必要です。
ペナルティを最小限に抑えるための5つのアクション
「もう期限に間に合わない」と分かった段階で、すぐに以下のアクションを取りましょう。
①とにかく1日でも早く申告する
前述のとおり、税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、無申告加算税は15〜30%から5%に軽減されます。完璧を目指して遅れるよりも、多少粗くても早く出すことが最優先です。
②申告と同時に納税も済ませる
延滞税は納付が完了するまで日々加算されます。申告書の提出と同日に納税を済ませることで、延滞税を最小限に抑えられます。資金繰りが厳しい場合でも、一部だけでも先に納付しておくことが有効です。
③「1か月以内の自主申告」で無申告加算税ゼロを狙う
以下の要件をすべて満たす場合、無申告加算税が課されない特例があります。
条件は厳しいですが、該当する可能性がある方はぜひ確認してみてください。
④納税が難しい場合は「換価の猶予」「納税の猶予」を検討する
税金を一括で納付するのが難しい場合、税務署に相談することで分割納付が認められるケースがあります。「換価の猶予」や「納税の猶予」といった制度を活用すれば、延滞税が軽減される場合もあります。放置せず、早めに税務署に相談することが大切です。
⑤税理士に相談する
「何から手をつけていいかわからない」状態であれば、税理士への相談が最も効率的です。経費の判断、帳簿の整理、申告書の作成、税務署への対応まで、一括でサポートを受けられます。特にスタートアップ経営者の場合、創業期特有の論点(開業費の処理、役員報酬の設定、消費税の届出など)も多いため、専門家の力を借りることで本業に集中できる環境を整えられます。
「青色申告の65万円控除」が使えなくなるリスクにも注意
期限後申告では、青色申告特別控除が最大65万円から10万円に減額されてしまいます。たとえば所得税率が20%の方であれば、控除額の差55万円 × 20% = 約11万円の増税になる計算です。住民税を含めればさらに影響は大きくなります。
また、2年連続で期限後申告をすると、青色申告の承認が取り消される可能性もあります。青色申告のメリット(赤字の繰越控除、少額減価償却資産の特例など)を失うことは、スタートアップの資金繰りに大きな打撃を与えます。
まとめ:遅れても諦めない。「1日でも早く動く」ことが最大の防御策
確定申告の期限に間に合わなくても、取り返しがつかないわけではありません。大切なのは、以下のポイントです。
創業期は経営に全力を注ぎたい時期だからこそ、税務の問題は早めにプロに任せるのも賢い選択です。
平川文菜税理士事務所では、スタートアップ・個人事業主の方の確定申告サポートを行っております。「もう期限を過ぎてしまった」「何から手をつけていいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。一緒に最善の対処法を考えましょう。
